退職後かかる税金は大きく分けると、
・健康保険料(健康保険税)
・住民税
・国民年金保険料
の3つがあります。
ちなみに、所得税は得た所得に対してかかるものですので、所得がない無職の場合は支払いは発生しません。
それぞれの金額や支払い方法について確認していきましょう。
税金は、お住まいの地域、所属団体によって金額やサービス内容が異なります。以下はあくまで参考例です。必ずお住まいの地域、所属団体に確認をして自分の判断で決めるようにしてください。
① 国民健康保険料(国民健康保険税)
健康保険に加入するための支払いです。払えないのであれば、減免手続きをするか親の扶養(学生時代と同じ)に入りましょう。これを払わないと健康保険に加入できず、医療費が3倍以上かかることになります。
健康保険に加入しているかぎり、医療費は3割負担です。 普段、風邪等の病気になったときは30%のみ自分で払っていて、残りの70%は健康保険組合が払ってくれています。
健康保険はいくつか種類がありますが、大雑把にわけると、「国民健康保険(無職・自営)」、「協会けんぽ(中小企業)」、「健康保険組合(大企業及びグループ会社)」の3種類があります。現在は「協会けんぽ」か「健康保険組合」に加入しているはずです。お持ちの健康保険証に加入団体の記載があります。
しばらく正社員をしてから無職になると、国民健康保険に加入するか、協会けんぽor健康保険組合に引き続き加入するか(任意継続と呼びます。)を選べます。
任意継続の場合は継続期間は最長2年間です。
国民健康保険に切り替えるか? 任意継続するべきか?
選ぶポイントとしては、まず「国民健康保険の場合の月々の支払額」と「任意継続した時の月々の支払額」を比べます。
国民健康保険の金額はお住まいの市町村と前年の年収(額面)により変わりますので、市町村のホームページを確認して計算しましょう。
任意継続保険の場合は、所属する健康保険組合と標準報酬月額(4~6月の月収の平均、交通費3か月分込、賞与は4回以上支払いがある場合は含める)により決めることが多いです。
どの方も今まで、会社と折半で健康保険料を支払っているはずです。任意継続保険の場合は現在の2倍程度かかると考えてください。
(詳しい金額については、所属の健康保険組合や協会けんぽのホームページを確認しましょう。)
<国民健康保険料の参考リンク>
・東京都 品川区
・神奈川県 横浜市
・大阪府 大阪市
国民健康保険にしろ、任意継続保険にしろ、現在の健康保険控除額よりは金額は増加します。
参考:年収400万円の私(独身)の場合
国民健康保険
→月々21,600円
任意継続保険
→月々23,400円
ちなみに退職前の健康保険料支払(控除)額は月々11,700円でした。
計算した結果、「国民健康保険」より「任意継続の保険料」のほうが安い場合は任意継続を選択すればいいかと思います。
逆に、「国民健康保険」の方が安く「任意継続の保険料」が高い場合は所属する協会けんぽや健康保険組合のサービスと天秤にかけて決める必要が出てきます。
例えば、ある健康保険組合の場合は追加給付というサービスがあり、手術を伴うような大病をした場合に限っては月々の支払いが国民健康保険より少し高くても、追加給付を受けられ結果的にお得になります。
一度、国民健康保険に加入してしまうと、再就職しない限り、協会けんぽ、健康保険組合に入りなおすことはできません。任意継続の手続きが可能な期間が定められているのでそこにも注意する必要があります。
基本的には保険料が安い方に加入するケースが多いかとは思いますが、迷うようなら任意継続してもいいかもしれません。
国民健康保険に切り替えるにしても、任意継続するにしてもまずは自分の所属団体のサービスと比べてみて決めるようにしましょう。
任意継続の方法について
多くの場合、退職日翌日(被保険者資格喪失日)から20日以内に任意継続の申請書を健康保険組合に提出する必要があります。この期限が過ぎてしまうと任意継続することはできません。
減免手続きの方法について
基本的に減免手続きが行えるのは国民健康保険のみです。健康保険組合や協会けんぽが減免に応じるのは、特別な事情(災害等)がある場合のみです。
減免が認可されるかは、市町村ごと、担当者によってかなり違いそうです。
減免すること自体のデメリットはなさそうなので、失業による所得減少を理由としてできるかを調べてみましたが、会社都合の退職(解雇・倒産)あたりの理由のみのようです。
自分から聞かない限り減免の案内はありませんので、どうしても減免しないといけない場合は、まずお住まいの市町村に相談してみるのがいいと思います。
納付方法について
国民健康保険
国民健康保険の納付方法は市町村により異なります。
<参考リンク>
・東京都 品川区
「口座振替」「納付書による納付」「Pay-easy」「クレジットカード」の4種類から選べます。
・神奈川県 横浜市
・大阪府 大阪市
協会けんぽ
協会けんぽ(任意継続)の場合は「毎月納付書により納付」「一定期間分を前納」「毎月口座振替」の3パターンがあるようです。
協会けんぽのホームページ(支払方法について)
健康保険組合
健康保険組合の保険料の納付方法は組合ごとに異なります。毎月納付書で振り込み、年4回前納、窓口振り込み等様々なパターンがあるようです。
② 住民税
前年の所得に対して発生するものなので、社会人1年目には徴収されません。消防や学校、福祉事業等に使われています。
住民税の支払金額
所得と市町村によって異なります。
<参考リンク>
・東京都 品川区
・神奈川県 横浜市
・大阪府 大阪市
参考:年収400万円の私(独身)の場合
住民税は月々14,000円でした。
後述しますが、分かりやすくするために月々の金額としているだけで、住民税は毎月の納付ではありません。
減免手続きの方法について
市町村により異なりますが、基本的に会社都合でないと難しいです。
納付方法について
6月、8月、10月、翌年の1月の4回の納期に分けて納めます。詳しくは市町村のホームページを確認してみてください。
<参考リンク>
・東京都 品川区
・神奈川県 横浜市
・大阪府 大阪市
③ 国民年金保険料
保険とついていますが、いわゆる年金です。
所得も住所地も関係なく、国民年金の支払額は年度ごとに決まっています。全員一律です。令和元年度の金額は16,410円となっています。年々増加していくことが決まっています。
今後支払わなくなる年金(厚生年金・厚生年金基金・企業年金)の手続きについてはこちらで解説しています。
国民年金保険料の金額について
日本年金機構のホームページに記載があります。
・日本年金機構 国民年金の保険料
減免手続きについて
所得が一定以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。しかし将来の受給額が減るので注意が必要です。受給額を増やすための追納制度もあります。
・日本年金機構 保険料の免除制度について
納付方法について
口座振替、現金、クレジットカード払いができます。
前納制度もあります。
・日本年金機構 保険料納付方法
参考:丸2年で辞めた私の税金支払い額
年収400万円(ボーナス、交通費込)で計算
国民健康保険料
→月々21,600円
(任意継続保険の場合)
(→月々23,400円 )
住民税
→月々14,000円
国民年金
→月々16,410円
1か月あたりの合計は52,010円となりました。結構かかりますね。
再度になりますが、税金はお住まいの地域、所属団体によって金額やサービス内容が異なります。以上はあくまで参考例です。正しい内容を発信することには努めていますが、法律の改正等により異なる部分があるかもしれません。このサイトを参考にして発生した損害についてはいかなる責任も負いません。
必ずお住まいの地域、所属団体に確認をして自分の判断で決めるようにしてください。